紙上ツイッター会報38号



小野晴巳(地球冒険学校準備会理事長)

 最近のIT事情にはまったく疎い状態にいます。スマホもメールもデジカメも使用していません。携帯電話もいやいやながら持たされていますが、緊急用で私から話すことはありません。パソコンのインターネットも契約しているのですが、ほとんど利用していません。たまに調べ物をする事や原稿書き位ですね。それでは、情報・専門性の知識はどこで習得しているのかというと、文字・活字です。最も利用するのが本・書物、次に新聞、週刊誌、雑誌等の印刷物です。いわゆる活字世代になります。自称「活字中毒者」です。
 さて、ツイッターというのは本来「小鳥がさえずる、ぺらぺらしゃべる、つぶやく」という意味のようで、私にはあまりいい意味には聞こえないのですが、「大声でつぶやき、主張し、発表できる」機器のようです。これからますます盛んになるのでしょうが、私には使えませんし、使う気もありませんので、紙の上で「つぶやいて」みようと思います。

 原発事故に思う

 汚染水漏れで依然として原発事故は終結していないことがわかりました。核燃料が溶解して、そこから放射能で汚れた水を流しているわけです。チェルノブイリ原発事故後25年経過しても解けた核燃料を取り出せず、放射能を撒き散らしているのと同じ現象です。今の科学技術では残念ながら放射能が強くて取り出せず、福島原発は終結しました、解決しましたとは言えません。
 さて、そんな現実の中で、原発を再開か、さらに原発輸出か等の議論が出ています。そこで、私は結論の前に原発の技術的原理・システムを客観的科学的に説明して結論の参考にしていただきたいと思います。2年半前の事故発生時はマスコミも詳しく説明していた原発の基本の記事が、最近はほとんどありませんから。

原発の原理

(1)原子について
 原発(原子力発電所)はまずこの原子を知ることから始まります。物質を分けていくと もっとも小さい粒を原子といいます。原子は原子核と電子でできています。原子核を調べると中性子と陽子で出来ています。原発はこの原子核を利用したものです。
(2)原子核について
 原子核には安定なものと放射線を出して不安定なものがあります。放射線をだす性質(能力)を放射線といいます。原子核は条件によって核分裂と核融合をおこします。原 発は核分裂利用です。
(3)核反応
 核分裂と核融合を核反応といいますが、核融合は文字通り核が融合することにより莫大 なエネルギーと放射線をだします。太陽が核融合の代表です。もし、人間が核融合技術 を平和利用で確立すれば、エネルギー問題は永久に解決します。ただし、難しくて確立していません。それにもかかわらず、悪い核融合の利用が先行したのが水素爆弾です。
(4)核分裂と原子力
 核分裂を利用して悪用したのが原子爆弾です。広島型原爆は濃縮ウラン、長崎型原爆はプルトニウムを材料とした原爆になります。どちらも高熱と大量の放射線で大勢の人を殺戮しました。すべて核分裂研究の過程での出来事です。原発もこの核分裂研究課程上のことであり、根は全く同じなのです。
 それでは核分裂とはいかなる現象なのでしょうか?
 結論からいいますと、ウランの原子核に中性子をぶっつけるとエネルギー(熱)と放射線が放出されるという現象です。19世紀末のウランの発見からこの原理に至るまでは多くの物理学者等の科学者が必死に研究しました。研究の結果、レントゲンやX線の発明発見がありました。特に、太平洋戦争中は武器利用に血眼で、日本でも仁科博士グループがこの原理を使って原爆の製造の計画まで研究したといわれています。しかし、国力の衰え、財政難で実行しないうちにアメリカに先行され、広島・長崎の悲劇につながるのです。
 もう少し詳しく説明しましょう。おのimg_01.gifウラン(235)に中性子を衝突させると分裂し、燃えるウランと燃えないウラン(238)と余分な中性子の3つに分裂します。さらに、燃えないウラン(238)に余分な中性子が衝突しプルトニウムになります。結論はウランの原子核分裂は燃えるウランと中性子とプルトニウムの3つができるということです。ここで、次の4つの性質を理解すると原発の仕組みと難しさがわかります。
 (イ)燃えるウランはエネルギー(熱)と放射能をだします。
 (ロ)中性子は次々と出てきて(だから余分な中性子と呼ばれます)止まらなくなります。そして、燃えないウランと衝突してプルトニウムを作り出し続けていきます。
 (ハ)プルトニウムは自然界になく人間が作り出した人工物でエネルギーと放射能を出します。
 (ニ)難しさをまとめると、放射能の防止、分裂を止めることです。おの核分裂図.gif

(5)核分裂の原発への応用
核分裂のエネルギー(熱)を利用して水を沸騰させ電気を作るのが原発ですが、その理由として材料が安い、ウランという鉱物、持続性、現代の人間が想像した最高の科学技術という宣伝でした。ただし、次の点は隠されていました。
 1.人間に害を与える放射能を出すこと。
 2.中性子の動きを止めないと永久に分裂を続ける事(いわゆるメルトダウンする事)。
 3.動きを止めるために冷却し、制御する必要がある事(汚染水の出る原因です)。
 4、今回の事故のように、大事故の時は人間が死ぬ危険性(過去の他の原発では死亡事故がありました)、避難生活を余儀なくされることなどです。
 さて、原発を建設し発電するには会社が新しい工場を建設するときと同じ手続きが必要です。即ち、事前計画、調査、立地、建設、設備、製品(発電)、発送、点検、安全等ですが、原発の場合特異な方法で建設され金を使っています。それに、製品を作るには3大要素、材料・組織(人)・原価の計算も必要ですが、これも電力会社の独特な方法があり、普通の会社の考えとは異なっています。(一つ一つ項目を点検すると素人でも莫大な金
を使っているという特異さがわかります)

 次回には、現実の原子力発電の内部構造(原子炉、制御棒、冷却水、電源等)を考えてみたいと思います。