スプリング・エフェメラルを見に行きませんか
この冬も寒かった、、、。確か昨年のシーズン前の長期予報では暖冬との予報だったのに、、、。それでもこの原稿を書いている時は2月下旬。テレビやラジオから三寒四温だとか春一番といった言葉がちらほら聞こえ始め、ようやく春が近づいてきたようです。そう言えば気がつくと随分日も伸びました。自転車に乗っていても夕方の5時過ぎまでライトをつけずに走れたりして、、、。いやぁこれは結構嬉しいことです。なんだかんだと言っても夜間走行は色々と大変ですから。
さて、そんな時期なので今回は春の話題です。
皆さんはどんな時に春を感じますか。暖かい風に吹かれた時ですか。それとも花を見た時ですか。もしかしたら花粉、、、。う~ん、これはちょっと厄介ものです。私の場合は花であります。春の花と言えばやっぱり桜。日本人なら誰がなんと言ってもやっぱり桜であります。桜の開花とか、お花見とか耳にするだけでもう身も心もうずうずしてきます。桜吹雪なんぞを見たときはもう日本人に生まれて良かったと思います。いや、本当に。でも桜を楽しむ前に毎年必ず心惹かれる花があります。それはカタクリであります。カタクリはブナ林などの落葉広葉樹林に群生します。カタクリは冬が終わると誰よりも早く芽を出し、花を咲かせます。この時、林の木々はまだ芽吹き前。だから地上まで春の日差しがたっぷりと注ぎます。カタクリはこのタイミングを逃さないのです。いち早く地上に芽を出しこの日差しを一人占め。そして花を咲かせます。開花期間は概ね2週間。やがて春も本格的になり、回りの木々が芽吹いてくると、カタクリは静かに姿を消します。そのため「春の儚いもの」「春の短い命」というような意味で、春の妖精、スプリング・エフェメラルとも呼ばれます。誰よりも早く春を知らせそして静かに去っていく。そんな奥ゆかしいこの花の姿に私はどこまでも惹かれます。
そのカタクリですが、かつては片栗粉の原料でもあったように身近な植物でしたが現代の都会で目にすることはなかなか難しいようです。そのため、人工的に栽培し観光名所としているところもあるようです。東京近郊でも例えば相模原市城山のカタクリの里はその代表例でしょう。しかしこの里はなんと有料、、、。よほど希少な植物でしたらお金を払っても惜しい気はしませんが、かつてはどこにでもあった花を見るためにわざわざお金をはらうのもどうなの?と言うことで私がおすすめするのは八王子市片倉にある片倉城跡公園。この公園、京王線の片倉駅からも横浜線の片倉駅からも近く、湯殿川沿いにあります。室町時代に築城された城跡が公園として整備されており遺構も見ることができます。この北側斜面がカタクリの群生地なのです。
まだ葉が茂っていないので明るい雑木林。その林床にカタクリが、、、。斜面を淡いピンク色に染めるかのように咲いています。
花の形もそうですがその色合いもそれぞれ微妙に違っていて、まるで一つ一つのカタクリが「私を見て」と誘っているかのよう、、、。全く春の妖精とは上手いこと言ったものです。カタクリは落ち葉で覆われた地面の中からすっと伸びて花を咲かせます。まるで春が来た喜びをそっと告げようとしているかのようです。
さて、この片倉城跡公園ですがカタクリだけでなく桜もまた見事であります。カタクリが終われば春本番。次は桜の出番であります。ちょっと急な階段を上って下さい。ポンと広場に出ます。一気に視界が開けるその様は、深田久弥が日本百名山で美ヶ原の台地に出た時に空が抜けたと表現しましたが、正にその情景のようであります。一面芝生の広場はお花見をするには絶好の場所であります。よく家族連れが遊んでいます。またカラオケを楽しんでいるグループもたまにいたりとみんな思い思いに桜を、春を楽しんでいます。公園の近くにはコンビニもあるので便利です(と言っても自転車の場合はお酒が飲めないので残念、、、)。まっ、お酒はなくとも楽しいもので、私はこの芝生の上でゴロンと横になって、桜と青空を眺めつつちょっと昼寝をするというのが実は秘かな楽しみなのであります。春眠なんとかと言うやつであり、これもまた春ならではの楽しみかな、、、。
湯殿川沿いにはつくしも生えています。これを摘んで佃煮にするというのもまた春の楽しみ。野草採りって結構大人も夢中になるもので、やってみると実に楽しいものです。あぁ、やっぱり春は良いものです。
この片倉城跡公園の楽しみは春だけではありません。初夏には菖蒲の花も楽しめます。兵どもが夢のあと。かつては戦の拠点だったのが今ではこんなに素敵な公園になっています。
今回ご紹介したスプリング・エフェメラルはカタクリだけではありません。イチリンソウやニリンソウ、ショウジョウバカマなどもそう呼ばれます。どれも小さくとも可憐な花ばかりです。ひと足早く春が来たことを静かに教えてくれるスプリング・エフェメラル。この春、あなたも見つけに出かけませんか。
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