第38回
東京で大仏を見る
さて早いものでもう11月も半ばを過ぎ気が付けば師走がもう目前。いやはや1年なんてあっと言う間です。振り返ればこの一年もなんとなく過ごしてしまい反省しきり、まさに「煩悩の犬は追えども去らず」であります。来年こそは有意義な一年をと思い(毎年のことですが、、、)ここは仏様にすがりたいと言うことで今回は大仏様のご紹介であります。
大仏と聞いてまずは鎌倉や奈良の大仏を思い出すのではないでしょうか。まぁ私もそうでしたが実は東京にも大仏はあるんです。まずは板橋区のその名もずばり「東京大仏」。荒川サイクリングロードに行く時、富士街道を走り、光ヶ丘団地から成増を通って笹目橋に出るのですが、その途中にあるのが東京大仏です。いつも地図でその名を見て何やら興味があったのですが訪れたのは今年が初めて。あまり期待していなかったのですがその迫力にビックリ。東京の、しかも23区内にこんな立派な大仏様があったなんて、、、。いやいや、まだまだ東京にも知らないことがあるものです。
さてこの東京大仏、板橋区赤塚にある乗蓮寺にあります。
上の写真はその山門と本堂であります。応永年間(1394年 – 1427年)に了賢無的が山中村(現在の板橋区仲町)に創建したと伝えられており、その後、江戸幕府の庇護もあり格式ある寺院に発展。昭和46年に首都高速道路の建設と国道17号の拡幅により板橋区仲宿から現在の赤塚に移転しました。境内にある東京大仏は、東京大空襲、関東大震災などの悲惨な戦災・震災が起きないように願いを込めて、昭和52年に建立されました。石段を上がり、山門をくぐると正面には立派な本堂。そして右に大仏様が。高さ13メートルの青銅製で重さが32トン。堂々たるものです。木々に囲まれた静かな境内にある大仏様。鎌倉などの大仏様と違い喧騒とは無縁。静かに心のままにお参りすることができます。大仏様の前に立てば自然と穏やかな気持ちになり、日々雑多なことで気持ちを乱す自分の小ささを教えられます。いやはや中々分っていても煩悩から逃れられません、、、。
乗蓮寺は東武東上線下赤塚駅より徒歩25分、都営三田線西高島平駅より徒歩20分のところにあります。また近くを通る首都高に沿って少し足を延ばせば荒川に出ます。その土手に立てば大きく広がる空にいつも感動を覚えます。大仏様を参拝した後、荒川の大きな流れと広い空を見る。何とも心洗われる時であります。
さて、東京大仏は都心にある大仏様ですが実は大仏様は多摩にもあるんです。それが鹿野(ろくや)大仏であります。場所は東京の日ノ出町。多摩川にかかる永田橋を渡り永田通りを西へ。奥多摩の山々を望みながら圏央道を過ぎ平井川を渡ると右手に見えるお寺が宝光寺であります。ちなみに最寄駅は五日市線の武蔵引田駅。ここから徒歩25分(福生駅、秋川駅、武蔵五日市駅からバスもあるようです)。
上の写真はその山門と本堂であります。このお寺も歴史は古く、鎌倉時代からあった菩提院を戦国時代に以船文済和尚が改宗し現在の宝光寺を開山。その後、江戸時代から明治にかけ度重なる火災にあいつつも再建。そして昭和に入り西多摩に仏教の教えを広めようと大仏の建立に至りました。
その大仏、鹿野大仏はこの本堂の裏手にあります。本堂横の坂道を登って駐車場を過ぎると眼前に大仏様が、、、。ちょうど尾根を切り開いて建立された大仏様の姿は本当に迫力満点。圧倒的なスケール。感動的と言っても良いかもしれません。大仏様の下へは整備された道を登っていきます。途中、木々の間から大仏様を仰ぎつつ10分ほどで到着。
高さ18m、重さ60トンの立派な大仏様です。この大仏建立は先代の住職の時から計画されたものでその遺志を現住職が引継ぎ実現。そのきっかけとなったのは東日本大震災で修行仲間でもあった友人を亡くしたことでした。その友人や震災で亡くなった方々を弔うため寺院経営が厳しい中、建立に踏み切ったそうです。東京大仏もそうですがやはり様々な人の思いが込められての大仏様なのでしょう。静かに、穏やかに大仏様と正対したいものです。
尾根の上にある鹿野大仏からは秋川の街並みや多摩丘陵、奥多摩の山並みが一望できます。大きく開けた空のもと、多摩を一望し、大仏様に触れるこの時はかけがえのない時ではないでしょうか。
今回ご紹介した大仏様は共に拝観無料でありますから興味のある方はぜひ参拝してみてください。何と言っても自分の目で見て体感することが一番です。ネットで色々な情報が手に入る時代でも自分の感覚に勝るものはありません。自分の目で見てください、感じてください。 ひょっとしたら悟りが、、、。