アウトドアの楽しみ方会報59号

第39回   

 多摩川に架かる橋

   なんだかんだと言ってもやっぱりこの冬は暖冬だったのでしょうか。2月になって一時寒い日が続きましたが、やっぱり山に雪は少なかったようですし高尾山に行ってもシモバシラはほとんど見られず、、、。高尾山直下の北側斜面、いつもならオォッと声を上げるくらいたくさんのシモバシラが見られるのですが今シーズンはエッと言うくらい見られなかった、、、。探してやっと陰にひっそりとできているシモバシラを発見。でもその小さいこと、、、。文字通り指先くらいの小ささ、、、。やっぱり暖冬なのか、、、。いやぁ、この分だと夏の暑さが心配です。昨夏より暑かったらどうしよう、、、。本当心配、、、。

 まっ、それはさておき多摩を代表する河川と言えばやはり多摩川でしょう。奥秩父を源とし山梨、東京、神奈川を経て東京湾に注ぐ全長138kmの堂々たる一級河川です。この多摩川には通称多摩サイとも呼ばれているサイクリングロードが整備されています。個人的に水を見たくなるとこの多摩サイを走ります。どの季節でも水の流れを見ながら走るというのは気分の良いものです。この多摩サイ羽田から羽村の取水堰まで約50km。思いのほか変化に富んでいて飽きさせないコースだと思っています。さて、この多摩サイを走っていると多くの橋を見ることができます。何の変哲もない地味な橋もあれば、まぁ、機能美と言うのでしょうか、人間はなんて美しいものを作るのだろうかと思わせる橋も多々あります。もちろん多摩にもそのような橋はありますがその一つが日野と府中を結ぶ府中四谷橋。

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この橋は1998年12月に完成し、長さ446m、2本の主柱から延びるワイヤーで支える斜張橋です。その柱の高さは61m。この2本の柱のおかげで遠くからでも一目瞭然であります。眺めてもそのモダンな姿は美しいものですが橋の上に立つとなんだか開放感があり、多摩川の広さを感じることができような、、、。アウトドア2.jpgいやぁ、この橋からの眺め、中々良いものです。さてこの橋を渡って北へ行けば国立市街へと通じ、また南へと行けば道は野猿街道や柚木街道とつながりだんだんとアップダウンのある道へ。緑豊かな景観と相まって多摩丘陵と言う言葉を実感させてくれます。橋の両岸でまた違う顔を見せてくれるというのも橋の持つ面白さなのかもしれません。

アウトドア3.jpg さてこの府中四谷橋からさらに上流へ進むと、、、。中央線を越えその先さらに行くと八王子と昭島を結ぶ多摩大橋があります。この橋もまた遠くからでもすぐ分かります。なんたってアーチが赤いのですから。目に染みるような赤。この色を採用した人に拍手を送りたい、、、。この多摩大橋、写真でもわかると思いますが、優美な曲線で作られたアーチが特長です。2007年10月に完成。橋の長さは461m。このアーチ、下路式補鋼アーチと呼ばれ、連続径間長は日本で最長の橋梁だそうです。平成19年度土木学会賞田中賞受賞と言うのですからその美しさ、機能美は広く認められたと言うことでしょう。この橋を見ると、多摩にも都心に負けない美しい橋があるのだといつも思います。このアーチ部分、近くによって見るとさらにビックリ。つなぎ目がほとんど目立たず実に滑らかな曲線を作っているのです。素晴らしい、、、。正に機能美と言ったところでしょう。しかも車はこのアーチの口を開けたようなところを通るという何だか近未来的な橋であります。この橋のたもと、昭島側は広い河原で運動場などが整備されています。不思議と落ち着ける空間で、この辺りから眺める夕日は中々のものだと個人的には思っています。この橋の通っている道は都道59号線で通称多摩大橋通りと呼ばれており八王子から武蔵村山までつながっています。道幅も広く自転車でも走りやすい道です。この橋から北へ、青梅線を越え五日市街道と交差する天王橋を過ぎたあたりからひなびた雰囲気となります。特に日産の工場跡地辺りは広々とした空間がとても魅力的です。多摩川の広さとはまた違う景色です。さらに北へ行くと日帰り入浴施設のかたくりの湯があり、さらに少し行けばもう多摩湖です。よく見れば多摩地区も意外と変化に富んでいることに気づかされます。

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橋を眺め、その橋を渡ってその先へ行ってみる。そこには今まで気づかなかった新しい発見があるかも、、、。皆さんの近くにも素敵な橋はありませんか。その橋はひょっとしたら新しい何かの入り口かもしれませんよ。