アウトドアの楽しみ方 会報62号

第41回

都心で楽しむ銀杏の黄葉


  この原稿を書いているのは11月、2019年もあと僅かです。振り返れば今年も災害の多い年だったような、、、。だいたい夏の暑さはもう災害級と言っても良いくらいだし、何と言っても先月の台風は凄かった。こんなに大きな台風ってここ数年なかっただけに本当にビックリというか怖いくらいでしsato1.jpgた。これも温暖化の影響なんでしょう。ちなみに左の写真は10月15日の多摩川羽村取水堰の様子です。茶色く濁った水が川幅いっぱいに流れていて、、、。もちろんいつもは穏やかな流れで河原に降りて遊べるくらいなんです。しかしこの日は濁流が音を立てて流れていて、その様子は恐怖を覚えるくらい、、、。自然の猛威の前では人間なんて無力なもんです。でもやられてばかりではないはず。立ち上がって前進する人間の力を信じたい、、、。


さて、11月ともなると一雨ごとに季節が進み、冬がもうすぐそこまで来ているのを感じます。近郊の山でも随分紅葉が進んでいるようですが、やっぱり紅葉って秋の楽しみの一つですよね。その紅葉、結構街中でも楽しめます。近くの公園の広葉樹もだんだんと染まってきました。色とりどりに染まってモミジやカエデの紅葉も見事ですが銀杏の黄葉もまた風情があって良いものです。銀杏は古代植物の生き残りといわれ、日本と中国の一部だけに現存している木です。また都の木としても選定されており公害や火にも強いため、街路樹としても使われています。

まぁ、確かに都内の道では銀杏をよく見かけます。そう言えば八王子市ではいちょう祭りもありましたっけ、、、。銀杏の黄葉はモミジやカエデの紅葉とはまた違った趣があり個人的には秋が深まると銀杏を目当てに色々と出かけます。多摩川沿い、福生市の永田橋近くの公園の銀杏は川の流れと黄葉のコントラストが見事ですし、家の近くの野川公園にはそれは見事な大銀杏があり、黄色く染まった大銀杏が天を衝かんばかりに高々と立つさまはもう圧巻です。

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sato2.png また銀杏は都の木と言うだけあって都心でも多く見られます。例えば神宮外苑。ここの銀杏は樹齢100年を越えると言うからビックリです。しかも視覚的効果を狙って遠近法に従って毎年剪定されています。ですので確かにここの黄葉は見事です。しかし、いかんせん東京でも有数の銀杏並木。紅葉シーズンは大変な混雑です。銀杏を見に来たのか人を見に来たのか分らないくらい、、、。仕方ないことですが静かに紅葉を楽しむというわけにはなかなかいきません。ちなみに左の写真は昨年のいちょう祭りの時の様子です。



sato4.jpgでは、どこか静かに紅葉を楽しむところはないのか、と言うことでおすすめしたいのは東京丸の内、皇居前の行幸通り。この通り、正式名称は東京都道404号皇居前東京停車場線と言い以前この中央車線は天皇の行幸と信任状捧呈式に向かう外国の大使の送迎車馬が通行する時にのみ使用される専用道とされ一般車の通行は禁止されていました。その後整備が進み2010年に歩道兼馬車道として交通開放されました。ちなみにこの通り、2018年にグットデザイン賞を受賞しています。確かにこの通りに立つと都会の真ん中とは思えない様な不思議な開放感があり、グッドデザイン賞受賞と言うのもうなずけます。

sato5.jpg南には東京駅丸の内駅舎。見事に復元されたレンガの駅舎がまた素晴らしいし、銀杏並木の黄葉に実によく合います。そして北には皇居。通りの左右には丸の内の高層ビル。この空間に黄葉した銀杏並木。他にはないこのシチュエーション。日本の中心とも言える場所で黄葉を楽しむ、何だかエアポケットに入ったような不思議な気持ちにすらなります。しかも意外と人が少ない。まぁ、通りが広いというのもあるかもしれませんがあまり知られていのかな、、、。静寂と言うわけにはいきませんが、それでも街の喧騒から離れて東京の真ん中で黄葉を楽しむと言うのはなんだかちょっと贅沢な時間でもあります。

 さぁ、皆さんの周りでもそろそろ黄葉が楽しめる時期ではないでしょうか。ちなみに今回掲載した写真は昨年の11月27日に撮影したものです。年末何かとバタバタ忙しくなりますが、ちょっとフッと肩の力を抜いて移り行く木々の彩を楽しみませんか。あなたの回りも良く見てみれば意外と素晴らしい紅葉スポットがあるかも、、、。