第36回 「セッコク」知っていますか
この原稿を書いているのは5月15日。実は今回の原稿の締め切りは5月15日までと結構焦っております。なかなかピンチな状況でありまして、ふとカレンダーを見ると今日は仏滅、、、。文字通りアンラッキーな状況、、、。果たしてどうなることやら、、、。
さて、前回は雪の低山で使える山道具のご紹介でありました。それから数か月。季節はあっという間に進み、今は春なんだかもう夏が始まったのかよくわからない季節であります。今年は急に暖かくなり花の開花も早かった、、、。冬はあんなに寒かったのに、、、。桜は4月を待たずに開花し満開になるし、、、。おかげでゆっくり桜を楽しむ間もなく、気がつけばカタクリは終わってるし、桜が散りだしたらもうチューリップは満開になっているし、、、。いやはや本当にビックリです。山の状況も同じように例年より春の訪れが2~3週間程度早いようです。どうも今年に限って言えば山で花を見るのを楽しみにしている方は要注意です。例年通りに行ってみるともう花が終わっている、なんてことになりかねません。やれやれ一体どうなっているのやら、、、。これも温暖化の影響なのでしょうか。いやぁ、この先、夏の暑さはもう恐怖でしかありません、、、。大丈夫かな、、、。でもあまり先のことを心配しても仕方ありません。そのあたりは神さんにお願いすることにして、今回は高尾山の花をご紹介したいと思います。
高尾山は低山ながらいろいろな魅力がありますがそこに咲く花も高尾の魅力の一つでしょう。そして初夏に咲く花にセッコクがあります。山と渓谷社の「山に咲く花」・「春の花」によると「セッコクとは樹上や岩上に多数の根を出し着生する常緑の多年草。茎は束生し、高さ10~30㎝になる。 葉は細長く、長さ約5㎝、質は厚く、茎に2~3年ついている。花がつくのは、2~3年目に葉が落ちたあとの茎で、 細い花茎を出し、白色~淡紅色の花を1~2個つける。花には芳香がある。」とありますが、よく見ると不思議なもんです、セッコクって。他の植物にくっついて成長し花を咲かせるのですから。高尾山では大きな杉の枝の付け根に着生していることが多いのです。ですからぜひ高尾山に行ったら太い杉に注目してください。それも上の方の枝の付け根。何か白いものが見えたらそれがセッコクの花です。下から見上げると結構上の方なので双眼鏡などがあると良いかもしれません。写真を撮るには携帯ではちょっと役不足。できれば望遠がきくカメラの方がよいでしょう。間近で見たという方にはケーブルカーの駅がおすすめです。駅のホームの立木にも植わっていてここなら近くで観察できます。観察ポイントを高尾山のビジターセンターがまとめてくれていますので参考にしてください。おすすめは琵琶滝がある6号路。沢の音を聞きながら登っていきます。琵琶滝を超え一汗かいた頃、道がカーブしたところにベンチが設置されています。ちょうどその辺りから見えるはずです、セッコクの白い花が。見上げてみると大きな杉の枝の付け根あたりに咲いてるはずです。満開の時期になるとこの谷全体が白く染まるようとはちょっと言い過ぎかもしれませんが思わずそう言いたくなるくらいなのです。いやぁ、それは実に見事なものです。一見の価値あり!です。だって電車でさっと行けて、山道とは言えよく整備された道を1時間も歩けば目にすることができるのです。これはもう行かないという手はありません。いやもう見逃したら本当にもったいないことです。
でもここで問題が、、、。そうです、いつ咲くか、ということなのです。例年で言えば5月末から6月にかけて咲きだすのですが、今年は、、、。いやぁ、難しい。正直よくわかりません。しかしこの春、油断していたらカタクリの花を見逃すという苦い経験から二度とこの失敗を繰り返すまいと先週、連休明けの5月7日に行ってみました、セッコクの花を確かめに高尾山へ。連休中は連日初夏の陽気だったので、もしやと思い1号路、6号路と歩いてみたのですが、さすがに山は都会と違って涼しいのかまだ一輪も目にすることはできませんでした。でも、例年ケーブルカーの駅から咲きだすというのでひょっとしたらと思い行ってみると、、、。咲いていたのです、セッコクが。いやぁまぁ、うれしいやらビックリするやら、、、。だって5月末頃から咲きだす花がもう咲いていたのですから。この写真がその時のものです。撮影したのはケーブルカーの高尾山駅のホーム。写真では分かりづらいのですがまだつぼみもありまだこの先楽しめそうです。この分で行くと山中のセッコクもそろそろ咲き出すかもしれません。ひょっとしたら6月になるともう散りだすのかも、、、。いやぁ、恐ろしいことです、それは。いやはや実に困ったものです。油断大敵。ボーとしていたら同じ失敗を繰り返しチコちゃんに叱られます。ということでこれからしばらくの間、毎週高尾山に足を運ぶことになりそうです。まっ、それはそれで楽しいことなのですが。